普段はできるのに、ある動作になると思うように身体が動かない。
力を抜こうとしても力が入る。
意識するほど動きがぎこちなくなる。
練習ではできるのに、本番になると崩れてしまう。
何度も練習したり、フォームを直したり、リラックスしようとしても変わらないと、 「もう元のようには動けないのではないか」と不安になることもあると思います。
ジストニアやイップスでは、 動かしにくい場所だけでなく、どのような条件で身体の反応が変わるのか が大切な手がかりになります。
特定の場面だけ、身体が思うように動かない
DYSTONIA
ジストニアとは
ジストニアは、自分ではそのように動かそうとしていないのに、 筋肉が意図に反して収縮し、姿勢や動きに変化が現れる神経学的な運動症状です。
症状の現れ方は一人ひとり異なります。
頸部ジストニア
首が意図せず一定方向へ向いたり、傾いたりすることがあります。
眼瞼痙攣
まぶたが閉じやすくなり、目を開け続けにくくなることがあります。
書痙
文字を書くときだけ手や指が動かしにくくなることがあります。
課題特異性ジストニア
楽器演奏など、特定の動作をするときだけ症状が現れることがあります。
似た症状が現れる別の病気や状態もあるため、 ジストニアが疑われる場合は脳神経内科などで適切な診断を受けることが大切です。
画像に異常がなくても、症状が存在することがあります
ジストニアでは、MRIなどの画像検査で明確な異常が見つからない場合があります。
「自分では明らかにおかしいのに、検査では問題がないと言われた」 という経験をしている方もいます。
画像に異常が見つからないことと、症状が存在しないことは同じではありません。
どの動作で出るのか。どんな状況で強くなるのか。何をすると軽くなるのか。 こうした特徴も大切な情報になります。
イップスとジストニアの関係
スポーツでは、今まで自然にできていた投球、パッティング、キックなどが 思うようにできなくなる状態を「イップス」と呼ぶことがあります。
イップスの中には課題特異性ジストニアとして考えられるものがありますが、 すべてのイップスがジストニアというわけではありません。
緊張、不安、注意の向け方、技術、身体の状態など、 複数の要素が関わる場合もあります。
緊張やストレスで症状が変わることもあります
本番、人前、失敗したくない場面、疲労やストレスが強いときに、 症状が強くなる方もいます。
しかし、 「気持ちが弱いから」「考えすぎだから」と単純に説明できるものではありません。
感覚、状況、注意、過去の経験や記憶なども身体の反応へ影響することがあります。 心理的な要素も否定せず、それだけに原因を決めつけずに確認していきます。
動きにくさだけが、悩みではありません
字を書くことを避けるようになった。
人前で演奏することが怖くなった。
投げる場面になると「また失敗するかもしれない」と考えるようになった。
症状の経験を繰り返すことで、 好きだった競技や演奏、仕事から距離を取るようになることもあります。
O.C.Laboでは、 その方が本当は何をもう一度できるようになりたいのか まで含めて身体を見ていきます。
特定の動作でだけ、身体の反応が変わる
書痙では、日常では手を使えるのに、文字を書こうとした瞬間だけ力が入ることがあります。
音楽家では演奏するときだけ特定の指が動きにくい。 スポーツでは練習ならできるのに、本番や対人になると身体が固まる。
このような場合、 身体の能力そのものがすべて失われているのではなく、 条件によって身体の反応が変わっている 可能性があります。
今の身体を理解する大切な手がかりです。
SENSORY TRICK
感覚を少し変えるだけで、動きが変わることがあります
ジストニアでは、頬や顎などへ軽く触れたり、特定の姿勢をとったりすると、 症状が一時的に軽くなることがあります。
このような現象は感覚トリックと呼ばれています。
強く押したり筋肉を無理に伸ばしたりしていないのに、 身体へ入る感覚が少し変わるだけで動き方まで変わることがあります。
身体へ入る情報を変えたときに実際の動作も変わる。 その変化を、今の身体を考える一つの手がかりとして見ています。
下の動画では、イップスやジストニアでみられる 「特定の条件で動きが変わる」という特徴と、 感覚トリックの考え方を実際の例を交えて解説しています。
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イップス・ジストニアと感覚トリック、身体制御について
「何を変えたときに、身体の反応が変わったか」を見ます。
MEDICAL CARE
医療で行われる主な治療
ボツリヌス毒素治療
局所性ジストニアなどで用いられることがあります。
薬物療法
症状や種類に応じて内服薬が検討される場合があります。
リハビリテーション
目的に応じて理学療法・作業療法・言語療法などが行われることがあります。
外科的治療
症状や重症度によって深部脳刺激療法などが検討される場合があります。
ジストニアが疑われる場合や不随意運動が続く場合は、 脳神経内科など専門医へご相談ください。
BODY CONTROL
症状のある場所だけを見ない理由
手を動かすときにも、手の筋肉だけが働いているわけではありません。
目で周囲を確認し、身体の傾きを感じ、 関節や筋肉から身体の位置を知り、 それらの情報をもとに動きが調整されています。
過去の経験や記憶、これから起こることへの予測なども 身体の反応に影響することがあります。
何を変えたときに動きやすくなり、何を変えても変わらないのか を整理します。
反応が変わる条件を探す
例えば、一人でのシャドーでは問題なく動ける。
ところが相手と向き合うと瞬きが増え、攻撃が近づくと身体が固まる。
「怖がらない」「目を開ける」と意識するだけでは変わらない場合、 どの条件から反応が変わるのかを確認します。
距離
どこまで近づくと反応が出るのか。
速度
ゆっくりなら動けるのか。
方向
刺激の方向で違いがあるのか。
視線
見る場所で反応が変わるのか。
姿勢・感覚
身体の条件を変えると違いが出るのか。
負荷
どこまでなら固まらずに動けるのか。
条件を変えたときの身体の反応を確かめます。
ASSESSMENT
身体の反応を、いくつかの角度から確認します
実際に困っている動作
書く、投げる、演奏するなど、症状が出る動作を確認します。
視線・眼球運動
見る場所や目の動きを変えたときの反応を確認します。
バランス・頭の位置
姿勢や頭の位置を変えたときの違いを確認します。
触覚・位置感覚
感覚条件を変えたときの反応を確認します。
注意・二重課題
注意の向け方を変えたときの動きの違いを確認します。
動きのタイミング
力加減、左右差、動き出しなども確認します。
その条件が、実際に困っている動作へ関係しているか を確認するための身体評価です。
注意の向け方で動きが変わることもあります
慣れた動作の多くは、一つ一つを頭で考えなくても行えます。
そこで、別のことを考えながら動くなど注意の条件を変え、 身体の反応を比べることがあります。
「考えない方がいい」と決めるためではなく、 注意の向け方が今の動作に関係しているか を確認するためです。
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二重課題を使った身体の反応の確認例
RETEST
変化は、再検査で確かめます
筋肉をゆるめた。姿勢を変えた。視線を変えた。感覚への働きかけを行った。
それだけで「これが原因だった」とは考えません。
最初に困っていた動作をもう一度行い、 本当に身体の反応が変わったかを確認します。
その条件が現在の身体反応へ関係している可能性を考えます。
変化しなかった場合
その可能性にこだわらず、別の条件を確認します。
RELEARNING
動きやすい条件から、少しずつ学び直します
動けなくなったときほど「もっと練習しなければ」と考えてしまうことがあります。
しかし、症状が強く出る状態で同じ動作を繰り返すことが、 必ずしも適しているとは限りません。
比較的症状が出にくい条件を探し、 そこから少しずつ本来必要な動作へ近づけていきます。
症状が出る条件を確認
どこから反応が変わるのかを確認します。
動きやすい条件を探す
比較的自然に動ける条件を探します。
条件を少しずつ変える
速度、負荷、距離などを段階的に変えます。
必要な動作へ近づける
競技、演奏、書字、仕事などへつなげます。
問診から再検査までの流れ
最初から施術方法を決めることはありません。 症状の経過や困っている場面を伺い、身体の反応を確認し、 必要な介入を行ったあとにもう一度動きを確かめます。
身体の反応に合わせて、必要な方法を選びます
「ジストニアだからこの施術」と決めているわけではありません。
身体の状態や反応を見ながら、 整体、鍼灸、感覚・神経制御へのアプローチ、 動作の再学習などを必要に応じて組み合わせます。
最初に困っていた動作がどう変わったのか まで確認しながら、次に必要なことを考えます。
MESSAGE
身体だけでも、気持ちだけでも決めつけません
僕自身、プロキックボクサーとして競技をしてきました。
練習では自然にできることが、 本番や相手との距離、緊張、過去の失敗などによって急にうまくできなくなる。
頭では「大丈夫」と分かっていても、身体が先に反応してしまう。
競技をしてきたからこそ、 「分かっているのに身体が言うことを聞かない感覚」 は理解できます。
臨床でも、イップスやジストニアを含め、 特定の場面だけ身体が固まる方、 過去の失敗をきっかけに動作が変わった方、 人前や本番になると反応が強くなる方などを多く見てきました。
ただ、そこで「メンタルの問題ですね」と決めることはしません。
記憶や予測、注意、緊張などが身体の動きに影響することはあります。 一方で、視線、姿勢、感覚、身体の状態などを変えることで動きが変わることもあります。
だからO.C.Laboでは、 心理か身体かという二択ではなく、 何が今の身体の反応に関係しているのか を一つずつ確認します。
僕が最初に知りたいのは、上手な説明や診断名ではありません。 いつ、どんな場面で困っていて、どんな条件なら少し動きやすいのか。
施術者側の理屈に身体を当てはめるのではなく、 実際に起きている身体の反応を一緒に確かめながら、 次に必要なことを考えていきます。
O.C.Labo院長
押方 匡介
ご相談について
医療機関での治療や医師からの指示を優先しながら、身体の反応や動作についてご相談いただけます。
動作についてのご相談は可能ですが、ジストニアが疑われる症状がある場合には医療機関での診断をおすすめします。
特定の競技、演奏、本番などでしか症状が出ないこともあります。可能であれば症状が出る場面の動画をお持ちください。
身体の反応や経過には個人差があります。一度の変化だけで判断せず、実際の動作を確認しながら今後の方向を考えます。
一人ひとりの身体から確認します
特定の動作だけ身体が固まる。
今までできていたことができなくなった。
病院へ行ったけれど、動きの悩みが残っている。
来院するかまだ決めていなくても構いません。
現在どのようなことで困っているのかをLINEからお送りください。
不随意運動が続いている、新しく症状が現れた、症状が広がっている、 その他の神経症状を伴う場合などは、脳神経内科など医療機関へご相談ください。
O.C.Laboは医療機関での診断・治療を否定したり、代替したりするものではありません。


